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執筆者の写真足野 正洋 (Affiliated Financial Planner)

働けなくなったときのセーフティーネット -『障害年金』ってなに?-

更新日:2023年7月14日


 

執筆者:足野 正洋(BANSO-CO スポットメイト)

保有資格:Affiliated Financial Planner、2級ファイナンシャル・プランニング技能士ほか

 


仕事や職場の人間関係が精神的につらい…。辞めたいけれど、生活費を稼がないと…。子どもの教育資金や老後資金はどうなるんだろう…。お金のことを考えると辞められない…。このようなお悩みの方はいらっしゃいませんか?


休職または退職した際には、必要な要件を満たすことで、『傷病手当金』、『障害年金』、『失業保険』などの公的支援を受けられます。


例えば、メンタルヘルス不調により休職した場合には『傷病手当金』を受給できることがあります。もし、そのまま退職することとなった場合であっても要件を満たすことで引き続き傷病手当金を受給できます。

さらに、不調から回復した後も、後遺障害により仕事が制限された場合には『障害年金』を受給できることがあります。

また、退職後に不調が回復し求職活動を再開した場合には、『失業保険の基本手当』を受給できます。


働くことが辛い場合や、メンタルヘルスなどの不調で休職や退職したが生活費に不安があるという場合には、公的なセーフティーネットを利用して家計とこころの負担軽減を考えてみましょう。


今回は、障害年金について、ご説明いたします。


1.障害年金 -ケガや病気による不調で働けなくなったときのセーフティーネット-

国の年金制度には、老後に受給できる「老齢年金」、死亡したときに遺族が受給できる「遺族年金」、障害を負ったときに受給できる「障害年金」の3つがあります。


「障害年金」とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限された場合に受給できる年金です。身体の不調だけではなく、ストレス等によるメンタルヘルス不調により仕事が制限されてしまった場合でも受給できます。

受給期間に制限はなく、一定の要件を満たしていれば、生活や仕事などの制限が続く限り受給できます。


2.要件を満たし、初診日から1年6カ月経過している場合に受給可能

障害年金の受給要件は以下の通りです。

① 初診日に国民年金または厚生年金の加入者であること

② 初診日までに保険料の納付要件を満たしていること

③ 障害認定日に障害等級1級から3級(基礎年金では1級から2級)に該当していること

④ ①~③の要件を満たし、初診日から1年6カ月経過していること


大まかな障害等級の判定基準は以下をご参照ください。

・1級は、自分では日常生活のことができず、常に誰かの援助が必要な状態。活動範囲はベッド周辺。

・2級は、日常生活が著しく制限されている状態。活動範囲は病院内・家屋内に限られる。

・3級は、労働が著しく制限される状態。


障害等級の詳細や保険料納付要件等について知りたい方は、最寄りの年金事務所で確認してみましょう。


3.原因によって障害年金を受給できないことも

障害年金の対象となる状態であっても、原因によっては障害年金を受給できないこともあります。

障害年金の受給を検討する場合には、かかりつけ医または社会労務士などの専門家に相談しましょう。


4.障害年金には基礎年金と厚生年金があり、受給額は障害の程度によって異なる

障害年金受給額は、障害の程度、配偶者の有無や子の人数によって異なります。

また、障害年金は、基礎年金と厚生年金の2階建てになっており、会社員(公務員)の方は、基礎年金に加え厚生年金も受給できます。


厚生年金の受給額は、『報酬比例年金額』と『配偶者加給年金』からなります。


報酬比例年金額は、年収と厚生年金加入期間によって金額が決定されます。

ただし、厚生年金加入期間が300ヵ月(25年)未満の場合は、厚生年金加入期間を一律300ヵ月として計算します。そのため、若くして障害を負ってしまった場合でも、しっかりと保障を受けられます。


以下に障害の程度と受給額の目安を記載しています。

※1報酬比例額:平均標準報酬月額×0.005481×厚生年金加入期間(月数)

厚生年金加入期間が300ヵ月(25年)未満の場合は300ヵ月として計算。

※2配偶者の加給年金:22万3,800円。配偶者の年齢が65歳未満であること。

※3子の加算額:子2人まで22万3,800円、3人目以降7万4,600円。18歳になった最初の年度末までの子。



例を挙げて計算してみます。

・平均標準報酬額40万円(年収約480万円)

・厚生年金加入期間10年(120ヵ月)

・妻、子2人の4人家族

・会社員

・障害等級2級


以上の条件の場合、

『基礎年金』は、77万7800円+22万3800円×2(子の加算2人分)=122万5400円、

『厚生年金』は、40万円(平均標準報酬額)×0.005481×300ヵ月=65万7720円(報酬比例年金額)に配偶者の加給年金22万3800円を加算して88万1520円となります。


基礎年金と厚生年金で年間210万6920円を受給することができます。


例はあくまで概算ですので、実際に受給する際には年金事務所で正確な金額を計算してもらいましょう。


5.受給中も国民健康保険料と住民税を納付する必要がある

障害年金は非課税のため所得税はかかりませんが、障害年金受給中も国民健康保険料と住民税(受給開始年度分)を納付する必要がありますので留意しましょう。

受給額から国民健康保険料と住民税を差し引いた手取り金額をもとに生活設計を考えると良いでしょう。


6.保険の見直しのきっかけにも

 前述したとおり、会社員の方は障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給することができます。

会社員の方であれば障害年金を受給できる前提で、就業できない時のリスクに対する民間保険の保険料を抑えることも選択肢の1つです。

 障害年金の仕組みを理解し、保険を見直すだけでも、経済的余裕に繋がり、日々のこころの負担も軽くなるかもしれませんね。


7.おわりに

~障害年金について理解することは、精神的余裕へと繋がる~

体やこころの不調で仕事ができなくなれば生活はどうなるんだろう…と不安になることがありませんか?


家計の不安は、さらなる精神的ストレスとなり、こころの負担を大きくしてしまいます。しかし、万が一不調により働けなくなってしまった場合でも、障害年金を受給できることがあります。


障害年金の受給額は家族が多ければ増額されます。また、会社員の方であれば基礎年金と厚生年金の両方を受給できます。さらに、厚生年金は年収と厚生年金加入期間に応じて金額が決定されますが、厚生年金加入期間が25年未満の場合には厚生年金加入期間を一律25年として計算します。そのため、若くして障害を負ってしまった場合であっても、しっかりと保障を受けられます。


障害年金について知っているだけで、体やこころの不調による家計の不安を軽減し、気持ちに余裕もできそうですね。


障害年金制度には、ここで記載していない細かな規定もありますので、受給を検討されている方は、年金事務所または社会保険労務士に相談してみましょう。


▶︎お近くの年金事務所は下記リンクから検索していただけます:https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html


 

「知っておきたい公的医療・年金保険制度」シリーズ第2回目、いかがでしたでしょうか?


BANSO-COでは、スポットメイトとのセッションをより有意義にご利用いただくため、

先にばんそうメイトと一緒に、問題の整理、ご状況に合ったお休みの取り方、スポットメイトとのセッションの際にお手元にあったほうがよい書類(障害年金等の申請に必要な資料等)の整理などをされておくことをお勧めしております。






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