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執筆者の写真足野 正洋 (Affiliated Financial Planner)

知っておきたい『子どもの教育資金と助成制度』

更新日:2023年7月14日


 

執筆者:足野 正洋(BANSO-CO スポットメイト)

保有資格:Affiliated Financial Planner、2級ファイナンシャル・プランニング技能士ほか

 

子どもが望む進路に進ませてあげたいけど…学費が心配だ…という方も多いのではないでしょうか?


「教育資金」は、住宅資金、老後資金とともに人生の3大資金(支出)とされています。

住宅ローンを返済しながら、子どもの教育費を捻出し、老後資金を準備するとなれば、一体いくらお金が必要なのかと不安になる人も多いでしょう。


人生の3大資金は金額が大きいです。事前に計画を立て、少しでも不安を少なくしておきたいものですね。

そのためにも、まずは、どの程度費用がかかるのかを把握することが必要です。


今回は、子どもの教育資金の概要と教育費助成について、ご紹介いたします。


1.教育資金はいくら必要?

子ども1人あたりの教育費はいくら必要なのでしょうか?

以下は大学卒業までにかかる教育費です。


出典:文部科学省「教育投資参考資料集」


図中の青色部分は私立の場合を示しています。

幼稚園(保育園)から大学まで国公立の学校の場合、子ども一人あたり約800万円かかります。

一方、すべて私立学校の場合には、約2200万円必要です。

必要な教育資金は、子どもの進路によって大きく異なることがわかりますね。


それでは、それぞれの内訳はどのようになっているのでしょうか?


2.保育園・幼稚園 -幼児教育費は無償-

(1)保育料、幼児教育費

育児休暇が終わり、仕事へ復帰する際に保育園・幼稚園を利用される方も多いと思います。

子どもを保育園に通わせる場合には、「保育料」、「給食費(食材料費)」、「行事費」等がかかります。

保育料は世帯所得(住民税所得割額)によって決定されます。保育料は、国の基準があるものの、負担額はお住いの自治体によって異なります。

 

例えば、筆者が住む県内では、世帯所得が同様であっても、毎月の保育料がA市:2万5,000円、B市:2万9,000円(年間で約5万円の差)です。住んでいる市が違うだけで、小さくない保育料の違いが生じる場合があります。


(2)保育料、幼児教育費の助成制度

次に、特定の年齢層や世帯を対象とした、保育料や幼児養育教育費への助成制度を見てみましょう。


○3歳児以降

3歳児以降(幼稚園は3歳以降、保育園は3歳になった次年度以降)の幼児教育費については、全国一律ですべての子どもの教育費が無償化されています。ただし、通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者負担です。


○住民税非課税世帯、年収360万円未満相当世帯

住民税非課税世帯では、0歳から2歳までの子の利用料が無償化されています。

また、年収360万円未満相当世帯の子どもについては、副食(おかず・おやつ等)の費用も免除されます。


○多子世帯

2人以上の子どもがいる場合に、保育料の軽減制度があります。

第2子は保育料半額、第3子以降は保育料無償などの制度も導入されていますが、自治体によって条件等が異なるようです。最近では、東京都が2023年度より0~2歳の第2子の保育料を無償化すると独自の方針を発表しました。

また、すべての世帯の第3子以降の子どもについては、副食(おかず・おやつ等)の費用も免除されます。


保育料や助成制度は自治体によっても異なりますので、お住いの自治体で確認してみましょう。


3.小学校から高校までの教育資金

教育資金は、「教育費(授業料など)」、「給食費」、「学校外活動費」に分類されます。

それぞれの内訳の詳細は以下のとおりです。


公立では、小学校で年間約32万円、中学校で年間約49万円、高校で年間約46万円かかります。一方、私立では、小学校で年間約160万円、中学校で年間約144万円、高校で年間約97万円かかります。

また、公立では、教育費と比較すると児童クラブや習い事などの『学校外活動費』が大きいことがわかります。

そのため、公立に通っている場合には、学校外活動費にかける費用によって教育費が増減させることができます。


一方、私立学校では、教育費の割合が最も多いため、通学するだけで多くの費用が費用になります。また、学校外活動費も公立と比較すると多くなる傾向があります。


4.高校授業料は実質無償化

世帯年収や家族構成によっても異なりますが、「高等学校等就学支援金」により高校授業料は実質無償化されています。例えば、両親共働きの場合には公立高校は世帯年収1030万円未満、私立高校は世帯年収660万円未満であれば授業料は実質無償となります。以下に支援対象となる世帯年収の目安を示しています。


○両親のうち一方が生計維持者の場合


○両親共働きの場合

※「基準額の対象」の金額は、公立高校の授業料に相当する11万8,800円が支給される年収の目安。

なお、申請書については、入学される高校等から入学説明会時や入学後に配布されます。


5.大学費用 -授業料の他に仕送り費用も必要-

大学の年間授業料の目安を以下の表に示しています。


国公立大学で約53万円、私立文系大学で約94万円、私立理系大学で約130万円かかります。

また、授業料等の他に、自宅外から通学する場合には生活費等の仕送りも必要となります。仕送りの平均額は毎月約10万円であり、4年間で約480万円必要となります。

授業料と仕送りの金額を合計すると、4年間で必要な金額は国公立で約680万円、私立文系で約880万円、私立理系で約1000万円となります。


6.教育費を準備するには -児童手当を活用する-

教育資金は、毎月の収入から計画を立て準備する必要があります。しかし、同時に住宅資金や老後資金のためも準備すると、原資が足りないという方もいらっしゃると思います。


そのような時には、児童手当を原資として準備するようにしましょう。


児童手当は、所得制限(※)はありますが、原則、生後から3歳までは毎月1.5万円、4歳から15歳までは毎月1万円ずつ(第3子以降の場合は中学校進学まで毎月1.5万円ずつ)受給できます。

※夫婦で所得が多い方の所得が対象。限度額は子どもや扶養家族の人数によって決定。所得制限限度額以上では一律5,000円に減額。所得上限限度額以上では児童手当の対象外。


子ども一人あたり約200万円受給できることになりますので、児童手当を原資に計画的に大学費用を準備できると良いですね。


現在、国会では「所得制限の撤廃」、「多子世帯への増額」、「高校生への拡大」など2023年度以降の児童手当拡充に向けて議論が進められています。また、東京都は18歳以下に所得制限なしでの独自給付を表明しています。

子育て世代としては、今後の児童手当拡充に期待したいですね。


7.子どもが高校生以上になれば控除を受けて節税を

子どもが16歳以上になったら、年末調整等で扶養控除を受けるようにしましょう。

子どもが16歳以上19歳未満の場合には「扶養控除」、19歳以上の場合には「特定扶養控除」の対象となります。控除を受けることで所得税と住民税を節税することができます。

節税額は控除を受ける方の所得によって異なりますが、節税した金額を塾の費用や仕送りの一部に充てられると良いかもしれませんね。


8.進路に応じた教育資金を視える化し、中長期的な計画を立てましょう

教育資金は金額が大きいため、中長期的に計画を立てると良いでしょう。

まずは、進路に応じて教育資金がいくら必要になるかを「視える化」することから始めてみることをおすすめします。


その際に、教育資金の大半は大学資金ですので、大学資金を軸に計画を立ててみると良いでしょう。

今回ご紹介したように、大学費用は子ども1人あたり600万円から1,000万円程度必要です。

しかし、大学進学までに大学費用全額を準備する必要ありません。なぜなら、子どもが大学へ進学した時点での家計から大学費用の一部を捻出するからです。

そのため、子どもが大学に進学する時点で、家計から毎年どのくらい大学費用に充てられるかを把握しておくことが重要です。

そして、家計からの捻出だけでは不足する金額について、児童手当を原資に保険、投資信託などを活用しながら中長期的な視点で準備すると良いでしょう。


9.おわりに

子ども一人あたりの教育費は約800万円から約3000万円と進路によって大きく差があります。

いずれにしても金額だけ見るとかなりの額ですが、しっかりと計画を立て事前に準備しておくことで不安と家計の負担を軽くできるかもしれませんね。


 

「子どもの教育資金」について、いかがでしたでしょうか?


BANSO-COでは、スポットメイトとのセッションをより有意義にご利用いただくため、先にばんそうメイトと一緒に、問題の整理、ご状況に合ったお休みの取り方、スポットメイトとのセッションの際にお手元にあったほうがよい書類(児童手当等の申請に必要な資料等)の整理などをされておくことをお勧めしております。


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